こんにちは、ネイトです。
今回はネジゲージを長く使うために
絶対にやってはいけない2つのことを紹介します。
前回紹介したネジゲージについての記事。
ネジゲージの導入について相談をしてくる加工会社さんもおられますが、品質管理、加工技術の向上などの面で、私はネジゲージの導入をおすすめしています。
そのネジゲージですが、高度なネジを検査ができる反面、使い方を間違えてしまうと、あっという間にネジゲージが壊れて使えなくなってしまうことがあります。
いやいや、そんなにすぐに壊れないでしょ?と思う方もいると思いますが、間違った使い方をしてしまい、新品をすぐにきちんとした精度で測れないようにしてしまった事例もあるんです。
高い金額を出して導入したネジゲージがすぐに壊れてしまうのは困りますよね?
そして最悪な場合は、精度が出てないことに気が付かずに、精度が出てないねじゲージで測定してしまい、製品が全部不良品になっていた!ということもあります。
そんなことにならないようにするために、今回はネジゲージを壊さずに長く使うための注意点を紹介します。
目次
力任せに絶対入れない
リングゲージ、プラグゲージともに言えることですが、力任せに入れない事です。
外径ねじ切りをしていて、
「そろそろネジゲージが入るかな?」と思い、
ネジゲージを入れようとします。
しかし切り込みが浅かったり、バリが出ていたりして
ねじゲージがスムーズに入らない場合があります。
その時にネジゲージの入りが悪い場合は、
力を込めて無理やり入れようとする人がいるんですね。
僕が高卒で入社した会社では
ネジゲージを導入したばかり。
ネジゲージを無理やり入れると
すぐに摩耗して精度が出なくなるということが
誰もわからなかったんですね。
「ネジゲージを無理やり入れたら摩耗する!」ということを
教えてもらってませんでした。
誰も摩耗するとは知らずに、
ネジゲージを扱っていたものだから、
当然すぐに摩耗していって
精度が出ない状態になってしまいました。
すると社内のねじゲージだと基準ゲージが入るけど、
客先のねじゲージでは、基準ゲージが入らないということになり、
社外クレームが発生しました。
当時、ネジゲージが摩耗することを知っている人が
社内にいなかったので、
何が原因かわからなかったのです。
そこで摩耗したゲージと
客先のゲージを借りて比べてみたところ、
両方ゲージが入る場合でも
客先のゲージと社内のゲージではガタの大きさが違い、
そこではじめてネジゲージが摩耗していることに気
が付きました。
焼きが入って硬度があるネジゲージが
摩耗するとは夢にも思いませんでした。
その経験からネジゲージを無理やり入れたら摩耗することがわかり、
使用する時には力任せに入れないということを学びました。
ネジゲージでねじのバリを取らないこと!
もう1つの注意点はバリを除けてから検査する事。
特に旋盤でネジを切る時に多いのですが、
ネジを切っていくとバリがでますよね?
そのバリを除けてない状態でネジゲージを入れると、
バリが邪魔で入らなかったり、
入りにくくなります。
その時に力任せに入れると、
ネジゲージがバリを除けながら入っていくことになり、
ネジゲージが摩耗していきます。
ねじ切り終わって検査の時に、
「ネジゲージを最初入れると固かったけど、2回目入れるときはすんなり入った」といった経験ないですか?
それは1回目にネジゲージを入れた時に
ネジゲージがバリを除去したので、
2回目に通した時にすんなり入るように
なっただけです。
それをすることで、
力任せに入れた時と同様に
ネジゲージが摩耗していきます。
当時の僕はバリでネジゲージが摩耗することを
知りませんでした。
なのでねじを切った時にバリが出て
「ゲージが入りにくいな~」と思った私は、
ゲージを入れたらバリが取れてスムーズに入ると思い、
「この方法だったらネジゲージで検査もできるし、バリも取れるし一石二鳥やん!!」
と革命的な方法を発見したかの如く、
調子に乗って無理やりネジゲージを入れていました。
「1回目は入りにくいけど、2回目はスムーズに入るし最高!!」
ということを繰り返した結果、
新品のねじゲージがあっという間に摩耗して
使い物にならなくなってしまいました。
なのでネジを切った後のバリ取りは、
真鍮のブラシなどで取ることをおすすめします。
ネジゲージが摩耗するとどうなる?
ネジゲージが摩耗してしまうと、
ネジをきちんと測定できる基準を満たさなくなり、
正確な検査が出来なくなります。
そして修理する事も出来ないので、
新しいネジゲージを買わないといけません。
ネジゲージは高いですよ。
大きいネジゲージになったら10万超えなんて当たり前。
当時はなんでこんなのが、
数万円~10万円以上もするんだって思いましたね。
特にM10以下のネジゲージは
プラグ、リングゲージともに摩耗しやすく、
M5以下のネジゲージになると
少しの力でも簡単に摩耗してしまうので
注意が必要です。
ネジゲージが摩耗しているかは、
校正点検に出して調べることができるので、
品質を維持するなら定期的に
校正点検に出すことをおすすめします。
ネジゲージの摩耗によるトラブル
摩耗して、きちんと測定できないねじゲージを使うと
どうなるかは・・・・・想像できますね。
一番印象に残ったトラブルは、
NC旋盤で摩耗したネジゲージを使用して
検査した方がいました。
そして客先のネジゲージは基準ゲージが通らずに
社外クレームとなり返品されました。
その数なんと500個。
M35×P1,5の外径ねじ。
基準ゲージが通らないだけなので、
深く切り込めば使えるように
修正することが可能。
しかしNC旋盤で、
ねじ山を合わせて切るのは難しく、
修正することができない。
そこで当時、
汎用旋盤を使っていた僕のところに
500個のねじ修正が回ってくることになりました。
すでに切ってあるねじを、
「汎用旋盤でねじ山を合わせて切るのにいい練習になるから!」
と言われて500個やりましたよw
最初の数個はよかったのですが、
もう途中から苦痛で仕方なかったですね。
おかげで汎用旋盤で
ねじ山を合わせて切るのが得意になりました。
今ではP0,5のねじ山にも
バイトを合わせて修正するのも余裕ですw
とまぁ、こんな感じで基準の出てないゲージで測定すると、
不良品が発生してとんでもない損害に繋がってしまうので
注意が必要です。
ネジゲージを長く使うために絶対やってはいけない2つのこと!まとめ
上記の力任せに入れない、バリを除去してから測定する。
この2つの項目を守ると、
ねじゲージを長く使うことができます。
焼き入れしてあるから摩耗しないわけではなく、
使い方を間違えると簡単に摩耗してしまいます。
品質保証の面でも大切なネジゲージ。
とても高価な測定工具になるので、
大切に使用してあげてください!