測定工具

【旋盤】ピンゲージ、栓ゲージの正しい使い方と保管方法!

こんにちは、ネイトです。

 

今回は栓ゲージで内径を測定する方法と

ピンゲージの使い方と保管方法を紹介します。

 

栓ゲージ、ピンゲージを使うメリット

栓ゲージ、ピンゲージともに

2点内側や3点内側よりも

素早くH7の公差が出ているか

正確に早く測定できるので、

品質のいい製品を

早く加工できるようになります。

 

しかし間違った測定方法をしてしまうと、

正しい測定ができないだけでなく、

栓ゲージやピンゲージを

破損させてしまう可能性もあります。

 

実際に色々な方に

汎用旋盤を指導をする機会がありますが、

間違った使い方をしてしまい、

正しく測定ができてなかったり、

栓ゲージやピンゲージの寿命を短くする

使い方をしている方を見かけます。

 

そこで今回は

栓ゲージを使った内径の測定方法や

測定時の注意点などを

動画とテキストで紹介していきます。

栓ゲージの通りと止まりの見分け方は?

まず最初に

栓ゲージの通り側と止まり側の見分け方を

知っておかないと使えないので、

紹介しておきます。

 

栓ゲージの通りと止まり(限界)の見分け方

①栓ゲージの取っ手に表記されている寸法

②止まり側は取っ手に溝が入っている

③止まり側の測定子が短い

 

この3つで止まり側(限界)を判断できます。

ネイト
ネイト
パット見ただけでもすぐに分かるので、

間違えることはほとんどないと思います。

栓ゲージを使った内径の測定方法(動画)

栓ゲージを使った内径の測定方法は

動画で紹介しているように、

加工したワークの内径に栓ゲージの

通り側が入って止り側が入らなければ

栓ゲージの表記された公差に入っていると

判断できます。

 

ネイト
ネイト
とても簡単に素早くH7の公差の測定ができます。

 

H7の公差を外れていた場合は、

止まり側(限界)が入ります。

その場合はH7の公差に入ってないので

その製品はNGとなります。

 

このように非常に簡単で早く、

H7の公差の測定が可能で

仕事の効率もアップします。

栓ゲージを使うタイミングと測定結果の優先順位

栓ゲージで測定するタイミング

2点や3点内側で内径を測定した後に、

栓ゲージを入れて測定して、

きちんと公差に入っているか確認します。

 

これで栓ゲージの通り側が入って、

止まり側が入らなければ、

H7の公差に入っていると判断できます。

 

しかし2点内側などの内径測定器で測定したら、

公差に入っているけど

栓ゲージが入らない場合があります。

 

その場合、どちらを優先するかというと

栓ゲージでの測定が優先になるので

栓ゲージが入るように

内径を修正しないといけません。

 

ネイト
ネイト

理由として2点内測や3点内測で測る時に

ラチェットを使っても測定圧が発生して、

実際の内径よりも数ミクロンほど

測定値が大きくなる場合があるからです。

 

特に25H7の公差を25,001と、

下限(マイナス)ギリギリで加工していた場合。

 

2点内側で測ると25,001と出ていますが、

測定圧の関係で大きく出ている可能性があり、

栓ゲージが入らない場合があります。

 

なので、2点内側や3点内側で測定して

公差に入っていたとしても、

栓ゲージが入らないのであれば、

栓ゲージの測定を優先して、

公差に入ってないと判断します。

 

ネイト
ネイト
実際に内径のH7の公差にはベアリングなどの相手が入るので、栓ゲージが入らないと相手のワークや、ベアリングも入らないのでNGとなるのです。

栓ゲージの測定はチャックからワークを外した後にも行うとより正確な測定ができる。

ネイト
ネイト

栓ゲージの測定は

チャックにワークを掴んだ状態で測定をしたのに、

すべての加工が終わってから再度測定すると、

より正確に内径の測定をすることが可能です。

 

というのも、ワークをチャックで掴んでいると

ワークにチャック圧という力がかかり、

チャックにワークを掴んでいる時は

公差に入っていても、

チャックからワークを外した瞬間に

チャック圧による歪が

発生する可能性があります。

 

特に肉厚の薄いワークの場合、

チャック圧の影響を受けやすく、

チャックに掴んでいる力が強すぎると、

簡単に歪が発生するようになります。

ネイト
ネイト
これは僕も見習いだったころに、よくやってしまいましたね。

 

すると加工直後の

チャックに掴んでいる状態で

栓ゲージで測定すると合格なのに、

チャックから外して測定すると、

歪が発生して穴が楕円になり、

公差が外れている場合があります。

 

特に汎用旋盤初心者の方は、

チャック圧がワークに強くかかっていると、

加工後チャックからワークを外した時に、

チャック圧の影響で歪がでてしまい

内径が楕円になることを知らずに

再度測定を行わない場合が多いです。

 

その結果、加工後は公差に入っているけど、

チャックから外したら公差外れになって、

内径の公差がきちんと加工できてない製品のまま、

検査などの後工程に流してしまい、

きちんと公差に入ってないと

クレームを受ける可能性があります。

 

そうならないようにするためにも、

すべての加工が終わって、

チャックからワークを外した後にも

栓ゲージで測定を行うことで、

歪による公差外れにも気が付くことができます。

 

「やっと加工が終わった~」と安心して

早く次工程に渡したい気持ちは分かりますが、

再度栓ゲージで検査をすることで、

チャック圧の影響による内径の歪に

気が付くことができますので、

面倒ですが再度検査することを

強くおすすめします。

 

ワークの形状に合わせて歪が出にくいように

チャック圧を調整したワークの掴み方は

こちらの記事で動画で紹介していますので、

合わせてご覧ください。

動画でわかる!汎用旋盤の3爪チャックにワークを脱着する方法!こんにちは、ネイトです。 今回は汎用旋盤の3爪チャックに ワークを脱着する方法を動画で紹介します。 この動画を見ることで、...

栓ゲージを使う時の注意点(守らないと破損します)

栓ゲージを入れる時の注意点は主に2つあり、

特に初心者の方は注意が必要です。

 

栓ゲージを入れる時の注意点

①穴に対してまっすぐ入れる。

②少しでも硬い場合は無理に入れない。

この2つになります。

 

H7の公差は穴と軸の隙間が

加工する直径によって多少変わりますが、

約0,01mmほどしかありません。

 

そのため穴に対して

栓ゲージをまっすぐ入れないと

加工した穴にうまく入らずに

栓ゲージの先端が摩耗したり、

ワークに傷が入る可能性があります。

 

また、加工した穴が公差の最小値に近い場合、

円筒度が出てなくて

内径がテーパーに削れている場合など、

栓ゲージが硬くて入りにくい、

途中までは入るけど奥まで入らない場合があります。

 

その際に、栓ゲージを回しながら

無理やり入れてしまうと、

栓ゲージの測定子部分がすぐに摩耗しますし、

ワークにも傷が入ってしまい、

栓ゲージと製品ともにダメになってしまう可能性が

非常に高くなってしまいます。

 

ネイト
ネイト
これは栓ゲージで測定する時に、絶対にやってはダメなことです。

 

栓ゲージの測定子部分は

硬度があるとはいえ、

ワークにまわしながら無理やり入れると、

すぐに測定子部分が摩耗してしまい、

精度が出なくなってしまいます。

 

測定子が摩耗すると

正確な測定ができなくなるので、

摩耗した栓ゲージは廃棄して、

新しく購入しないといけません。

 

さらにワークに無理やり入れることで、

ワークにも傷が入ってしまい、

栓ゲージ、加工しているワークともに、

不良品になってしまう可能性が高いです。

 

そして栓ゲージを新しく購入する費用や、

不良品を再製作するための材料代や、

加工時間も無駄に掛かってしまい、

非常にもったいない損害が出てしまいます。

 

よく汎用旋盤初心者の方が、

栓ゲージが入りにくいからといって、

無理に回しながら入れていき、

栓ゲージをすぐに摩耗させたり、

ワークに傷を入れて失敗しています。

ネイト
ネイト

なので、栓ゲージで測定する時に

入りにくい場合は、

回しながら無理に入れるのではなく、

公差内で栓ゲージが軽く入るように内径を削るか、

ペーパーで磨いで公差内で内径を広げてから、

栓ゲージで測定をします。

 

そうすることで、

栓ゲージを摩耗させたり、

ワークに傷を入れることなく、

適切な測定をすることが可能です。

 

特に旋盤初心者の方が、

早く製品を完成させようと焦っている時は

栓ゲージを無理やり入れやすいので、

注意が必要です。

 

ちなみにねじゲージを使う時も

同じような注意点がありますので、

合わせてご覧いただければと思います。

ネジゲージを長く使うために絶対やってはいけない2つのこと!こんにちは、ネイトです。 今回はネジゲージを長く使うために 絶対にやってはいけない2つのことを紹介します。 前回紹介し...

栓ゲージの使う前の置き場所の注意点

栓ゲージを使う前の置き場所ですが、

汎用旋盤の上には絶対に置かない

というのが置き場所の注意点になります。

 

と言いますのも、

汎用旋盤の刃物送り台の上や、

主軸ギアの上などは、

旋盤を使っていると熱を持ち

非常に熱くなっています。

ネイト
ネイト
そのような場所に精密な測定工具を置くと、

熱の影響で測定子が膨張するなどして、

正確な測定ができません。

 

栓ゲージやピンゲージなどの測定工具は

熱を持ってしまうと数ミクロンは

すぐに寸法が変わります。

 

さらに熱の影響で

測定子部分の歪みや曲がりが出ると、

穴にまっすぐ入らずに正確な測定ができないので、

廃棄して新しい栓ゲージを購入しないといけません。

 

これは旋盤の初心者の方が

旋盤の上に置くことが多いのですが、

実は僕も見習いだったころに、

栓ゲージが熱で膨張することを知らずに、

旋盤の上に栓ゲージを置いていました。

 

そして師匠に旋盤の上に栓ゲージを置くと

栓ゲージが熱で膨張して

正確な測定ができなかったり、

歪みが発生して買い替えが必要になることを

教えてもらいました。

 

それからは栓ゲージなどの測定工具全般を

旋盤の上に置かずに作業台の上に置き、

熱を持たないように大切に使うようにしています。

 

そうすることで、熱の影響で測定工具が膨張して

「適切な測定ができずに公差を外してしまった」

という失敗を防ぐことができています。

 

特に旋盤初心者の方は、

旋盤の上に測定工具を置くと

熱の影響を受けてしまって

適切な測定ができなくなることを

知らない方が多いです。

 

 

そのため無意識のうちに

旋盤の上に工具を置くことがあるので、

旋盤の上に測定工具を置かないように

注意していただければと思います。

ピンゲージの使い方と使用時の注意点

ピンゲージの使い方は内径の測定の場合は、

栓ゲージと基本的に同じ使い方をします。

 

ピンゲージを使った測定の例

内径が直径4±0,05mmの場合、

直径3,95のピンゲージが入って

直径4,05のピンゲージが入らなければ

4±0,05mmの公差に入っていると判断できます。

 

栓ゲージにない寸法の内径の測定は

ピンゲージを用いて測定することが多いですね。

 

色々なサイズのピンゲージがあるので、

栓ゲージやマイクロメーターで測れない

内径や溝幅などの測定に使いやすく

正確に測定でき、測定時間を短縮できます。

 

ネイト
ネイト

栓ゲージとピンゲージの使い分けですが

栓ゲージは内径のH7の公差の測定に使用して、

ピンゲージは栓ゲージにない大きさの内径測定や、

溝幅の測定に使用することが多いですね。

 

ハンドルがないタイプのピンゲージを

使う時の注意点ですが、

手でつかむハンドル部分がないので、

ピンを直で持って使うようになります。

 

その際に素手で持ってしまうと、

手の熱がピンゲージに伝わって膨張してしまい、

正確な測定ができなくなります。

 

なので、使用する際は、

素手でピンゲージを持たずに、

手袋やウエスなどでピンゲージを持ち

熱を使えないようにする必要があります。

 

特に小径のピンゲージは小さいので

素手で持つと熱がとても早く伝わり、

簡単に膨張して正確に測定できなくなります。

 

その点では測定する時に

栓ゲージよりも取り扱いに

注意が必要です。

 

また、ピンゲージ、栓ゲージともに

きちんと錆が出ないように保管しないと

画像のように錆が出て使い物にならなくなります。

 

このように錆びてしまったら

正確に測ることが難しく、

測定には使えないので、

新しく買い替えが必要になります。

 

非常に高価な測定工具で、

購入費用も掛かってしまうので、

とても勿体ないことになってしまいます。

ネイト
ネイト

そうならないようにするために、

使用後は埃などを払い、

錆びないように防錆処理を行い、

大切に保管することで、

長く使うことが可能になります。

 

ピンゲージ、栓ゲージの保管方法

埃を払って防錆油を塗るなどの防錆処理を行って、

高温、高湿にならない場所に保管する。

 

 

それでは今回の記事は以上になります。

 

栓ゲージ、ピンゲージを使うことで、

マイクロメーターよりも素早く公差を測定することができ、

仕事の効率がとてもアップします。

 

ネイト
ネイト

ぜひ、適切な使い方をして

高精度な仕事を素早く測定できるようになり、

仕事のスピードアップに

繋げていただければと思います。

この記事を書いた人

ネイト

汎用旋盤を使って1年100万円超える失敗をしてクビ寸前だったのに、作業手順書を作ったら失敗が減り汎用旋盤が飛躍的に使えるようになって人生変わった1級普通旋盤技能士。(知事賞受賞、技能五輪、技能グランプリ出場)

「仕事は見て覚えろ」という旋盤業界の教え方が大嫌い「きちんとした手順さえ知れば誰でも汎用旋盤を使えるようになる」という理念のもと、汎用旋盤の使い方失敗の対策の方法について、20年汎用旋盤を使ってきた経験をもとに情報発信をおこなっています。

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