こんにちは、ネイトです。
今回は、僕がやっている
端面溝入れの加工方法とおすすめ工具を紹介します。
目次
端面溝入れとは?
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2017/10/img_2400-225x300.jpg)
端面溝入れとは名前の通り、
製品の端面に溝を加工すること。
アリ溝を加工する際は、
まず最初に端面溝入れを加工してから、
アリ溝を加工していくようになるので、
必ず加工できるようになっておいた方がいいですね。
端面に溝を入れるだけだけど、
外径の溝とはまた違う難しさがあります。
端面溝入れ加工時のバイト選択の注意点
端面溝入れ加工をする時のバイトは、
端面溝入れ用のバイトを選択しないといけません。
間違って外径溝入れバイトで加工すると、
バイトの破損、製品に傷が入って
不良品になるといった事が起こります。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2018/01/img_2798-225x300.jpg)
画像の左が外径溝入れ、
右が端面溝入れのバイトになります。
端面溝入れバイトの特徴は、
端面溝を加工した際に、
バイトがワークに干渉しないようにRになっています。
これを理解せずに
外径溝入れバイトで端面溝入れを加工した際、
バイトの下部がワークに干渉してしまいます。
ゴゴゴゴ~と大きな音がして、
バイトが破損したり、ワークに傷が入って
不良品になってしまうので要注意!!
僕も過去に外径溝入れで端面溝を加工して、
バイトを破損させたり不良品を出したことがあり、
先輩に怒られたのはいい思い出ですw
おすすめの端面溝入れバイトとチップ
僕が使っている端面溝入れのバイトは、
京セラの端面溝入れバイトのGFVシリーズ。
京セラのバイトを使う理由は、
仕上げに優れたPRシリーズの
チップが使えるからですね。
京セラのPVDコーティングのチップは、
切削性がよくて仕上げ面が綺麗になり、、
Oリングの端面溝入れの際は、
溝の底面を磨く時間も短縮できる
優れたチップです。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2017/10/11びびり-4-320x180.png)
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2018/01/img_2802-225x300.jpg)
GFVシリーズのバイトは、
バイトの下部分をグラインダーで成形してやると、
1つのバイトで加工できる範囲が広くなり、
溝の径に合わせて何本もバイトを
用意しなくいいので経済的。
成型する前と比べて強度は少し弱くなるけど、
気にならないレベルなので
加工範囲が広くなるのを優先しています。
チップは研磨ブレーカータイプのチップがおすすめ。
幅はビビりが出にくいように、
2,5mm幅をよく使ってます。
というのも端面溝入れ加工って
ビビりが発生しやすいんですね。
なので切削抵抗が大きいチップを使うと、
ビビりが発生して仕上げ面が汚くなってしまうので、
あまりおすすめはしません。
京セラのPVDコーティングがされた
PR1225などのシリーズだと、
ステンレスをはじめ鉄、アルミ、チタンなど色々な被削材でも対応できるので、
僕はよく使ってます。
基本的に僕は、
このバイトとチップを使って端面溝入れを加工しています。
端面溝入れの加工方法
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/01/img_0655-225x300.jpg)
NC旋盤の場合
NC旋盤を使って端面溝入れを加工するのは、
G74の端面溝入れサイクルを使うのが超簡単。
※端面溝入れサイクルはNCの機種によって違うので注意。
上記のおすすめ工具を使った場合、
周速(Vc)120くらい。(被削材、段取りによって上下する)
インチングは0,1mm、
送りは0,02~0,03mmくらいで送ると、
精度、工具寿命ともに安定しやすいですね。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/01/scannable-の文書-2-2019-01-02-14_39_23-300x276.png)
①G74の端面溝入れサイクルを使って溝の荒加工。
画像のように、径は上下ともに0,2mm残し。
底面は0,02mm残します。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/01/scannable-の文書-2019-01-02-14_40_00-300x261.png)
①溝の下側からC面を取ながら入って、
下側の径を仕上げます。
この時のZはキメの寸法より
0,02mm手前にしておく。
②早送りでバイトを抜いて、
溝に上側からC面を取りながら入って、
上側の径を仕上げる。
Zもキメの寸法まで送る。
③底面を仕上げる。
この手順で加工すると、
簡単で綺麗に加工できます。
汎用旋盤の場合
汎用旋盤の場合は、
面取りバイトで面取りをするのが違うだけで、
他は基本的にNC旋盤と同じです。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/01/scannable-の文書-2-2019-01-02-14_39_23-300x276.png)
①径方向、上下ともに0,2mm残し
、底面は0,02mm残しで荒加工する。
ハンドルを使って自分で送るので、
送りの速さに注意する。
送りが早かったら簡単にチップが折れてしまい、
溝の底面に傷が入って不良品になる場合があるので注意!
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/01/scannable-の文書-2019-01-02-14_40_00-300x261.png)
①溝の下側の径を仕上げる。
底面は0,02mm手前で止める。
②バイトを抜いて、
上側の径を仕上げる。
底面のキメの寸法まで送り、
底面を仕上げる。
③面取りバイトを使って面取りをする。
この方法で端面溝入れを加工すると、
綺麗に素早く加工することが可能です。
なお、端面溝入れ加工をする際に
ビビりが発生する場合。
NC旋盤、汎用旋盤ともに加工条件を下げてやるか、
幅爪、丸爪を使ってワーク全体を掴むことで
ビビりを抑えることができます。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2017/11/びびり3-320x180.png)
端面溝入れで不具合を減らす方法
ちょっと端面溝入れ加工で
不具合を減らすコツも書いておきます。
以前、端面溝入れ加工の不具合の原因の
データを取ったことがあるんです。
すると端面溝入れ加工時の一番大きな要因は、
NC旋盤だとプログラムの打ち間違いによる寸法違い、
汎用旋盤だと計算寸法間違いが多かったです。
特にチップの幅をずらすのを勘違いした
計算間違いが多かったですね。
僕も、昔はよく計算間違いなどをやって
失敗してしまいましたね。
そこで対策として、
加工する時にある方法で確認してやると、
上記が原因による不具合が圧倒的に減ります。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/01/img_0655-225x300.jpg)
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/01/img_0657-225x300.jpg)
まず加工する時に、
0,01mmほど端面にチップを当ててやり、
端面に線が入ったら一度バイトを逃がします。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/01/image2-300x277.jpeg)
その際に、画像のように金指しを当ててやり、
寸法が間違ってないかチェックしてやります。
計算間違いなどで
狙った寸法からずれていたりすると、
この時に分かるようになり、
事前に失敗を防ぐことができます。
早く加工したい気持ちは分かりますが、
この確認をやるだけで
端面溝入れの不具合が大きく減るのです。
僕も昔、端面溝入れ加工が苦手で
失敗しまくっていた時期があって、
上司や先輩に怒られまくってました。
「また失敗したの?」「誰がその失敗の穴埋めするの」と
嫌みったらしくよく言われましたね。
しかし、端面溝入れの際、
この確認方法を取り入れると、
端面溝入れの加工で失敗する事が皆無になりました。
今では端面溝入れを加工する際に、
この方法で間違えてないか確認しないと、
落ち着かないくらい習慣化されました。
ちょっとしたことですが、
この方法をするだけで、
計算間違いなどの失敗がなくなるので、
とてもコスパのいい確認方法です。
![](https://senbanmania.com/wp-content/uploads/2019/07/旋盤の失敗-320x180.png)
まとめ
というわけで、
端面溝入れの加工法と
おすすめの工具を紹介しました。
外径溝入れとは違った難しさがある
端面溝入れ加工。
僕も昔、
間違えて外径溝入れを端面溝入れに使って
バイトを破損させたり、
送りが早すぎてチップを折ってしまったり、
ビビりが発生して底面が汚くなったりと、
たくさん失敗してきました。
その経験を元に色々と試行錯誤した結果、
今回紹介した端面溝入れの加工方法に辿りつきました。
簡単にできる手順になっているので、
ぜひやってみてください。